子供たちに何か話せと言われたら…

 「「考える」とは「計算する」ことである」といったタイトルで子供たちに話してみたいものです。その際、大切なのは自然言語(Natural language)と人工言語(Artificial language)に関する次のような事柄で、それらが分かれば、考えることは計算することであることが自ずと分かります。

1言語とは何でしょうか
 言語を操るのは人間だけと言われ、言語と思考、言語と科学や文化の間の密接な関係が想定されてきました。言語がなければ人間の知識は生まれなかったのです。

2自然言語とはどのような言語で、人工言語はどのような言語でしょうか
 私たちが知っている自然言語は日本語ですが、インド・ヨーロッパ語族に比べて他のどの言語からも独立した、孤立無援の言語です。それでも、日本語以外の言語で表現された内容を私たちは理解できます。人工言語を使うのはコンピューターで、AIの言語です。むろん、人も人工言語を使うことができます。

3接続詞と加減乗除は違うように見えて、実は同じです
 文と文を接続(結合)するのが接続詞、(結合子、connnectives、not, and, or, if then)です。数のような項と項を結合するのが演算子(operators、加減乗除)です。文を接続すると文ができ、項を結合すると項ができます。文と項の見かけは違いますが、文と文の接続を真偽の計算と見ると項の結合と同じです。

4文法と論理は何が違うのか
 文法の規則と論理の規則は異なるのですが、文をつくる規則について文法と論理の規則は違うのです。一つの文には一つの主語しかないのが文法の基本ですが、複数の主語を認めるのが論理的な文の基本です。この違いは極めて重要で、アリストテレスの論理学とフレーゲの論理学の違いとなっています。この部分はしっかり理解したいものです。でも、推論する規則については文法と論理の規則は重複していて、本質的に変わりません。

5言語を使った推論と数学の証明は同じ
 言語を使って「考える、推理する、論証する、証明する」は、どれも似たようなことを主張しています。言語を使って推論することは数式を操って証明することと同じことです。

こうして、自然言語を使って考えることは人工言語を使って計算することに翻訳できるのです。