桜、桃、そして梅

 梅は葉が緑を増し、桃の花も散り出し、桜が満開というのが今年の東京だが、それぞれの花を見比べる機会は意識しないとなかなかできない。開花の時期だけでなく、三つの異なる樹木が並んでいることは滅多にないからである。花を愛でるのはそれぞれの花を別々に愛でることであり、三つをまとめて、見比べながら愛でることは極めて少ない。

 丸い花びらをもつのが梅なら、桃の花弁は尖っている。桜の花びらには切れ込みが入り、丁寧に見比べるなら、それらの違いを見極めることができる。とはいえ、実際の花は結構な個体差があり、花びら毎に色も形も微妙な違いを持っている。

 花見には樹木全体の花模様、個々の花や花弁の形や色、そして、木々の違い、さらには、桜の種類に応じての違い、最後に梅や桃との違い等々、色んな花見がある。こうなれば、4月の花見は幅も深みも豊富で、とても濃いことになる。

*最初の二枚の画像が染井吉野、次が桃、最後が白梅