カヤやシバ

 「枯れススキ」と聞くと、秋の侘しさだけでなく、人生の悲哀も感じてしまうのですが、最近は侘しさよりは美しさを感じさせるカヤやシバの類が随分と増えています。湾岸地域にはススキが意外に多く、今はそれが秋の風情を醸し出しています。それと並んで観賞用のカヤやシバも植えられていて、それらの共演を楽しむことができます。

 ミューレンベルギア・カピラリス(Muhlenbergia capillaris)はイネ科ネズミガヤ属の常緑多年草で、和名はネズミガヤ。ミューレンベルギアは乾燥した疎林や森林地帯、サバンナ、山の岩肌周辺などに自生していて、ワイン色の穂が魅力的なグラスです。煙が立ち込めたような柔らかな雰囲気を醸し出します。原生地では乾燥した疎林や森林地帯、サバンナ、山の岩肌周辺などに自生しています。いくつかの蝶や蛾の宿主植物としての役割を果たし、種子は鳥や小型の哺乳類の餌となります。

 イネ科のチカラシバ(Pennisetum alopecuroides)はススキに似た大型の雑草で、開花はススキよりやや遅れます。名前の「力芝」は強靱で根の張りが強く、力を入れても容易に抜けないことから付いたようです。チカラシバに花穂が緑白色になるものがあって、アオチカラシバと呼ばれています。

 イネ科のルビーガヤ(Melinis repens)は紅褐色の毛が綺麗な南アフリカ原産の草本です。和名は英名のRuby grassからつけられている。その綺麗な響きの名前も、穂を見れば納得できます。他のイネ科にはない美しい色合いをしています。

*画像は順にススキ、ミューレンベルギア、チカラシバ、ルビーガヤ