ボケの11月の花

 ボケ(木瓜)は春に赤や白の花を咲かせる花木で、平安時代の頃から日本人に親しまれてきました。3~5月に赤、白、ピンク、オレンジの花を咲かせるのですが、11月頃から花が咲き始めるものもあり、春に咲くものと区別して「寒木瓜(カンボケ)」と呼んでいます。そのカンボケが一輪咲いているのを偶然に見つけました。つい先頃まで暑いと言っていましたから、「一輪ほどの寒さ」はまだなのですが、それでも北海道では雪の予報が出始めました。せっかちな寒木瓜が少々早めに咲いて、冬がやってくる予感が高まってきます。

(寒木瓜からの閑想)

 名前に「寒」のつく植物には「品種名として「寒」がつく植物」、「本来の開花時期でない寒い季節に花が咲いたときに「寒」をつけて呼ぶ植物」、「寒中に花が咲くことから、別名として名前に「寒」がつく植物」などがある。

 カンツバキ(寒椿)はヤブツバキサザンカの交雑種。カンアヤメは菖蒲(アヤメ)の仲間だが、冬の寒い時期に咲く種。カンヒザクラ(寒緋桜)は旧暦の正月の頃に咲き始めることから「元日桜」とも呼ばれ、このカンヒザクラオオシマザクラ(大島桜)の交雑種がカンザクラ(寒桜)である。

 ボケの花も春に咲くが、二季咲きの性質をもったものが冬の寒い時期に咲くことがあり、その頃に咲くボケが寒木瓜。カンボタン(寒牡丹)も品種としては春咲きのボタンと同じだが、二季咲きの性質を持った牡丹で、冬に花をつけると「寒牡丹」。