ブラシノキの花

 ブラシノキは「ブラシの木」のことで、花の形がビン洗いの円筒形のブラシそっくりです。私などは柔らかい筆に対して、堅いブラシを想像して、そのブラシの中に飛び込む昆虫や鳥は勇気があると思ってしまうのですが、どうもそれは素人の誤解のようです。

 フトモモ科ブラシノキ属のブラシノキの花期は5~6月と9~10月。色んなハチが赤い雄しべの束に潜り込んで、付け根の蜜を吸います(画像はミツバチ)。花弁が目立たないのは5個の花弁と5個の萼片が開花後すぐに落ちてしまい、花が咲いている時には無くなっているからです。

 雌しべは1本で雄しべより長く、雄しべの先の葯が金粉のついたかのように輝くので、「金宝樹」とも呼ばれます。また、ギリシャ語の「美しい雄しべ」という意味の「カリステモン」という名前もあります。とにかく、ブラシの形は昆虫や鳥を惹きつけるのに十分成功しているようです。