エノキの青葉と青い実

 湾岸地域に意外に多いのがエノキ。エノキはケヤキと同じニレ科の植物ですが、ケヤキが太い枝を上に向かって伸ばすのと違い、エノキは横方向にも太い枝を伸ばします。そのため、樹形はより横に広がり、夏に木陰をつくります。そこで、エノキの漢字は「榎」で、これは日本で作られた国字です。江戸時代の一里塚には、木陰を提供するエノキがよく植えられました。例えば、二本榎通り(にほんえのきどおり)は港区高輪一丁目と高輪二丁目の間、および高輪三丁目を通る道の名前です。

 エノキはたくさんの花を咲かせますが、それは小さく、目立ちません。エノキは春にたくさん実をつけ、その実は秋に橙色に色づきます。実は甘いので、鳥がよく食べ、そのフンから消化されなかった種子が撒かれることになります。一昨日のゴマダラチョウとアカボシゴマダラは幼虫期にはエノキの葉を食べることで知られています。