「雪の雫」の花

 スノードロップsnowdrop)の別名はガランサス、待雪草(まつゆきそう)、雪の花、雪の雫。スノードロップは白い下向きの花を1輪咲かせる春を告げる花である。スノードロップの原産地はヨーロッパ。花は3枚の白い花弁と真ん中に緑色の芯をもつ。「スノードロップ」は「雪の雫」と訳されるが、16~17世紀のヨーロッパで人気があった「ドロップ」という涙滴型の真珠のイヤリングに似ていたことからつけられた。

 一方、スノーフレークの和名はスズランスイセン(鈴蘭水仙)で、花がスズランに、葉がスイセンに似ていることから命名された。スノーフレークは地中海沿岸が原産で、スノードロップとよく似ている。スノードロップが咲きおわった頃にスノーフレークが咲き始める。スノードロップスノーフレークも花は下向きで、そのままでは内部が見えない。

*「雪の雫」雑感

 「雫」は水の滴りのことだが、「雪が滴る」とはどのようなことなのか。「雫」の漢字は「雨」と「下」からなり、「雨が下に落ちる様子」、つまり「水のしたたり」の意味である。snowflake(雪片)、 waterdrop(水滴)に対して、snowdrop (雪の雫)、waterflake(水片)は変な表現と言うことになるのだが…「雪の雫」という名前のホテルや日本酒が新潟県にある。だが、「雪雫」は雪解けの水のしたたりのこと、「雪解け雫」のことで、季語にもなっている。確かに、私は3月の中旬以降の暖かい日に雪雫を何度も見ているし、今なら氷河の雫は大雫になっている。

 これと似ていなくもないのがマツヨイグサ(待宵草)。「マツヨイグサ」は江戸時代末から明治初期に園芸種として日本へ渡ってきた帰化植物で、竹下夢二作詞の「宵待草」(大正時代の愛唱歌)で有名になった。その後、太宰治の『富嶽百景』(昭和14年)の中に出てくる「富士には月見草がよく似合う」の月見草も「黄金色をした」という表現からマツヨイグサを指していた。

スノードロップ

スノードロップ

スノーフレーク