カネノナルキの花たち

 「カネノナルキ(金のなる木)」と聞いて、随分と直接的な名前だと思ったのを憶えている。かつてはあちこちで見掛けたのだが、最近はすっかり少なくなった。昭和を代表する園芸植物の一つであるカネノナルキはベンケイソウ科クラッスラ属の多肉植物で、園芸名はカゲツ(花月)、和名はフチベニベンケイ(縁紅弁慶)。英語では葉が硬貨に似ているためdollar plant、money treeと呼ばれる。一方、日本での名前の由来は栽培業者が新芽の出た際に5円玉や50円玉の穴をその芽の上に当てて固定すると、新芽はその穴を通して成長し、まるで木にお金が生っているように見えるため、「金のなる木」と呼ばれるようになった。

 カネノナルキは乾燥や低温の厳しい環境に適応し、世界中に分布する。日本へは昭和初期に渡来し、葉には表面に美しい光沢があり、茎に対生する。緑一色のものから、白やピンクの斑入り品種まであり、寒さに当たると葉は赤くなる(画像)。茎頂に集散花序を出し、白色から淡桃色の小花を多数つける(画像)。花期は12月~3月。花は星型で、5枚の花弁を持ち、雄蕊と雌蕊が5本ずつある(画像)。