ニシキギの翼

 スズランノキ、ニッサボクと並んでニシキギは世界三大紅葉樹の一つとされ、日本の庭では名脇役となってきました。紅葉の美しさから「錦木」と名づけられましたが、ニシキギには枝の節間にコルク質の「翼」があり、これを刃物や矢になぞらえて、「剃刀の木」、「鬼の矢柄」などの別名があります。

 ニシキギの翼のコルク層は完全にコルクで、光合成には役立ちません。では、コルク層の発達は何に対する適応なのでしょうか。生存にとって不利でも有利でもない、いわゆる中立変異なのかも知れません。鑑賞価値が高いニシキギは人気があり、人為的に繁殖を助けられ、広く分布するようになったとも考えられます。コマユミとニシキギはよく似ていて、翼があるかないかの違いしかなく、葉や実だけを見てもほぼ同じです。ニシキギも幹の部分には翼がありません。となると、今のところ翼の存在理由は謎のままです。