タラヨウの実

 タラヨウ(多羅葉)はモチノキ科モチノキ属の常緑高木。奇妙な和名「タラヨウ」は、先の尖ったもので葉の裏側に文字を書くと、黒く跡が残る性質がタラヨウにあり、それがインドで仏教の経文を書くのに使われた貝葉の原料であるヤシ科のタラジュ(多羅樹)と同じなので、名付けられたと言われている。紙が希少であった戦国時代にこの性質を利用して情報のやり取りをしたことから、「ハガキノキ」という別名もある。そのためか、郵便局の木とされ、ハガキ(葉書)の語源になったとも言われる。

 タラヨウは本州中部以西に分布するモチノキ科の常緑樹。山地の林内に自生する高木で、大きくて艶のある葉と、秋に稔る赤い果実を特徴とし、庭園や公園、街路にも植栽される。それで、私も湾岸地域でタラヨウを見ることができたのである。

 タラヨウの開花は5~6月。雌雄異株で、秋には雌木に同属のモチノキと似たような赤い球形の実ができる(画像はまだ青い現在のタラヨウの実)。