杏と梅の花

 梅、桃、杏(あんず)、そして桜が咲き、春が始まっていますが、画像の花は何かというのが私の些細な疑問。画像を頼りに探っていくと、梅と杏の花の見分けが鍵を握っていることに気づくのです。

 杏と梅はどちらもバラ科サクラ属に属する落葉小高木で、実や樹形もよく似ています。それでも、それぞれの花には別々の特徴があります。杏の花は一つの節に複数の花を咲かせ、花の付け根の萼(がく)が反り返っています。一方、梅の花は一つの節に花を一つ咲かせ、花の付け根の萼(がく)が反り返っていません。このような見分け方を使って、画像の花を詳しく見てみると、杏だと判定できそうです。

 こんなせっかちな判別法を使わなくても、ゆっくり観察を続け、葉をつけ、実を結ぶことを見て、さらには実の味も確かめてみれば、もっと納得できる判定ができることは誰にもわかっています。幸いにも私たちには梅と杏の実ははっきり異なるものだからです。

 結末は確実に分かるが、現時点でははっきり判定できないことが人生には数多くあります。そのような場合の幾つかは私たちに生きる楽しみを与えてくれています。でも、忘れてならないのは、それと同じ数の生きる苦しみも与えていることです。とはいえ、梅と杏の花の識別は確かに生きる楽しみとなっています。

*最初の二枚は八重の、最後の二枚は一重の画像