アサガオ:シロバナのアサガオ

 「シロバナノアサガオ」と聞いて、「白花の朝顔」なのか「白花野朝顔」なのか悩む人はアサガオについてかなり知っている人だろう。少なくとも「朝顔」と「野朝顔」の違いを知っていなければ、二つの区別ができない筈である。だが、「シロバナノアサガオ」、あるいは「しろばなのあさがお」と書かれたのでは、アサガオを知らない人には区別できない。「かたかなやヒラガナ」表記に違和感をもつ人でも、やはり区別はできない。図らずも、漢字の有用性を示す例になっている。

 「野朝顔」とは何とも味気ない名前だと言いたくなるのだが、「野菊」も「野薔薇」も味のある名前だと思う人は少なくなく、どうして「野朝顔」は味気ないのかよくわからない。アサガオは昔から園芸種で,野の草ではなかったからなのか。野菊も野薔薇も似たようなものではないのか。

 アサガオには似た花が多い。ペチュニア(ツクバネアサガオ)、チョウセンアサガオ、サツマイモはよく似ていて、マルバルコウソウカルミアは区別できる。アサガオ自体についても、ノアサガオ、シロバナノアサガオ、ヒロハヒルガオ、マルバアメリアサガオ等々、区別がつきにくい。

 さて、ノアサガオは熱帯から亜熱帯地域に自生するつる性の多年草で、沖縄では海岸付近に旺盛に繁茂している。画像のような「オーシャン・ブルー」が代表的だが、昨今の「緑のカーテン」ブームによって、注目されている植物の一つで、窓や壁を覆って日ざしを遮り、柔らかな日陰をつくってくれる。

 アサガオに似たヒルガオ(昼顔)はヒルガオ科の植物で、アサガオと同じく朝開花するが、昼になっても花がしぼまないので、この名前がついた。蔓性の多年草で、春から蔓が伸び始め、夏にかけて道ばたなどに繁茂する。湾岸地域ではあちこちで一斉に薄いピンク色で直径5~6cmの花を咲かせている。湾岸地域では野草の女王で、花や蕾は生でも食べることができる。ヒルガオとコヒルガオ(小昼顔)は、花のサイズはヒルガオの方が少し大きく、葉もヒルガオの方が細長いなどの違いがあるが、見分けるのは難しい。しかし、湾岸地域ではヒルガオを見ることができず、私が見た限りでは、咲いているのはすべてコヒルガオ

 さて、肝心の画像の二種のアサガオについてだが、真っ白の方は中心が薄いピンクのものより一回り大きく、真っ白のものはノアサガオより一回り小さい。普通のアサガオのように朝遅くにはしぼみ、ノアサガオとは違っている。薄いピンク色が入る方も朝遅くにはしぼみ、サツマイモの花に似ている。どちらも「シロバナのアサガオ」と呼んでおこう。

ノアサガオ

ヒルガオ