リナリアやマツバウンナンの花

 既にアジュガキランソウ、バラとナニワイバラ、そして、現在書き続けているサトザクラヤマザクラなどを思い起こせば、そのもう一つの例として、リナリア(そして、キンギョソウ)とマツバウンランを捉えることができます。どれも前者が園芸種で、後者が自然種です。

 野生の植物、あるいは自然に進化してきた植物と人工の植物、あるいは人が変えてきた植物の対比となれば、自然の技と人の技の違いがどこにあるのか誰もが知りたくなります。でも、その探求は意外に厄介で、遺伝子の組み換えなどとなると、複雑怪奇で、戸惑うしかなくなります。でも、植物の園芸種の場合は割と自然と人の好みの違いのようなものを垣間見ることができるように思われます。

 最初の例がワスレナグサキュウリグサ、次がアジュガキランソウの例です。花を見なければ、二つは違うものです。花だけがよく似ていて、そのため私も類縁関係に気づいた訳です。キュウリグサキランソウも注意深く道端に目配りすれば、見つけ出すことができるのですが、ワスレナグサアジュガは自分から私たちの目に飛び込んできます。種明かしすれば、花の違いです。大きく派手な花は私たちの探す努力を省いてくれます。園芸種には私たちの演出が巧みに盛り込まれているのに対し、自然種は私たちの方が自然の演出を見つけなければなりません。米や麦、果物や野菜と範囲を広げれば、花だけでなく、私たちの生存に不可欠な食料として極めて重要な植物です。

 マツバウンランの花色は紫で、北アメリカが原産です。葉が松のように細長く、かつ花の形がウンランに似ていることからその名が付けられました。

 リナリアの花色は赤、ピンク、橙、黄、白などで、ヨーロッパが原産。花の形が金魚草に似ており、やや小型であることから姫金魚草(ヒメキンギョソウ)と呼ばれることもあります。 

 キンギョソウ(金魚草)は公園の花壇や庭先でよくみかける花で、花の色は赤や黄、白、橙、桃色などです。花の姿を泳いでいる金魚に見立ててキンギョソウの名前がつきました。

マツバウンラン

マツバウンラン

リナリア

キンギョソウ