2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

梅に目白

梅が咲き出し、鳥たちがやってくる。梅の木でさえずる目白を見上げながら、妙なことが浮かんでくる。「梅に鶯(うぐいす)」と言っても、「梅に目白」とは言わない。 「梅に鶯」と言っても、それは梅の木に鶯が来るという意味ではなく、二つのものが時間的に…

感じられる時間

子供の頃の風景の中のものはみな大きかった。家も人も、道も川も大きかった。大人になり久し振りに帰省して見る風景の中のそれらに大した変わりはないのだが、みな小さかった。そして、こんな小さいものを昔は大きいと思っていたのだと感慨にふけったことが…

ハナキンポウゲ=ラナンキュラス ラックス

学名が呪文のようなラナンキュラス ラックスは私には符号に近いのだが、ハナキンポウゲは花の名前で、キンポウゲ(金鳳花)はどこかで聞いたことのある懐かしい花の名前なのである。この違いが意味の有無につながるのかも知れない。だが、それはあくまで私の…

大煙突

冬になり、特に寒い朝には煙突の煙が目立つ。6日朝の東京はマイナス1.6度とのことだったが、煙突がその存在感を大いに増して見えていた。ゲートブリッジの遥か向こうに見える煙突の中で、特に目立つのは袖ヶ浦火力発電所の二本と姉ヶ崎火力発電所の三本。私…

善と正義の戦い:そんな戦いは善なのか正義なのか

ロールズの最大の貢献となれば、「善」と「正義」を対立させ、その相克を重大な問題として掲げ、理論的な分析と構築を試みたことです。「善」と「正義」をどのように定義し,両者の関係をどのように規定するか、これまで議論が続けられてきました。ロールズ…

サギ

「サギがいる」と喜んで見ると、すぐに「どうしてあれがサギだとわかったのか」、「その判断は本当に正しいのか」といった疑念が過ぎる。よくはわからないのだが、恐らく私の過去の記憶から「あれはサギだ」とわかったのだろう。それが本当に正しいかどうか…

宗教組織と争い

中東での争いの多くにはイスラム教が関わっている。かつての宗教戦争の原因となれば宗教そのものだった。歴史を辿れば、どうも宗教は戦争が好きらしいと誰もが思いたくなる。宗教の存在を悪と思う人は少なく、宗教は人を救い、世界を平和にするものだと信じ…

隅田川の河口

江東区勝どき五丁目の対岸は浜離宮で、その向こうは再開発で生まれた汐留のビル群である。大川の河口で、少し左に行けば江戸前の海。時間の経過を感じさせてくれるような風景で、これからオリンピックに向けて、さらに変貌する風景の一瞬を切り取ったもので…

「懐疑」についての懐疑

デカルトはすべてのことを疑い、疑い尽くしても尽くし切れないものとして「疑う」自分を見出したということになっています。哲学史の授業ではこのような話が定番になっていて、方法的懐疑の特徴はもう何も確実なものはないと思えるところまで懐疑が徹底され…

日曜の風景

日曜の風景の代表となればスポーツ風景。今の日本を代表するスポーツの二つがラグビーとサッカー。辰巳の森海浜公園にある隣り合わせの少年広場とラグビー練習場ではそれぞれサッカーとラグビーの試合が行われていて、昨日もいつもの如く歓声が響いていた。 …

補足:ヘーゲルとマルクス

ヘーゲル以前の哲学が理想ばかり追求したのに対して、ヘーゲルは現実を直視しました。ヘーゲルが見たのは理性的でない伝統や慣習の現実世界でした。そして、ヘーゲルは今この現実世界の状態はまだ途上なのだと考えました。そこで彼が導入したのが、時間の経…

欲望:ヘーゲルまで戻ると…

「欲望とは、他者の欲望である」というハイカラで気障な表現は、精神科医にして哲学者のジャック・ラカンのもの。欲望は自らの心の内にあるというステレオタイプ的な思い込みに対し、それを逆転したというのがこの文の意義。ラカンが説くには「他者の欲望行…

群れるのは人だけではない。群れなければ生きていけないのが両性生物の宿命。群を一つの生き物と見たくなるほどに鳥たちの群れは形とダイナミズムをもって動いている。それが静止画でもわかるのは、私たちが始終鳥の群を見慣れているから。鳥たちが画面いっ…

欲望や意思の存在とその存在理由:From a physicalist point of view

(自然主義や物理主義は心、意思、欲望、霊魂等を一切否定する。そのことに人は大抵猛反発するのですが、その否定の仕方には無頓着な人がほとんどです。以下に述べるのは否定の仕方についての話です。「人には意思や欲望があり、それが行動の原因になる」と…

桜と雪

言わずもがなのことですが、「桜」と「雪」は異なる単語で、実際、雪と桜は異なる対象です。画像の桜と雪は区別が少々厄介なのですが、よく見れば誰にも見分けはつきます。「雪には白色しかないのに対して、桜の花には色々な色がある」のは正しい言明で、異…

対称性と保存則

物理学の真髄の一つとなれば保存則。エネルギーや質量が保存されることが大前提になって世界が考えられ、理解されてきた。この世界観をリアリスティックと呼ぶなら、それに対峙するのがロマンティックな「破壊と再生」の世界観。破壊と再生の際の真髄は模倣…

深川怪談:怨霊、祟り

昨年の富岡八幡宮の宮司殺人事件は世間を驚かせた。いずれ深川怪談の一つとして後世に伝えられることになるのではないか。なにしろ怨霊や祟りという文字が元宮司の遺書に踊り、神社の境内で宮司が殺されたのだから。 人が死ぬとその魂が霊として肉体を離れ、…

同じ月

満月が突然欠け始め、やがて赤黒く輝き出す。そして、再び光が射し、月は元の姿に戻っていく。昨夜この皆既月食が起きた。午後8時50分頃から始まり、約1時間後には皆既食になり、11時過ぎまで続いた。皆既食の継続時間は1時間17分。 皆既月食の一部始終、特…

欲望の社会と地球環境の保全

(NPOの活動は何のため?) 「環境保全」を前面に出して小さな地方都市で活動しているNPO団体にとっては、具体的な個々の活動が注目され、自分たちの活動がどのような意味をもつかは二の次になる場合が多い。だから、活動の意義を問われても、環境省や市役所…

スズメの砂浴び

真冬のスズメとなれば、寒さに震えているのかと思いきや、元気に砂浴びをしているではないか。スズメは水浴びだけでなく砂浴びもする。砂を羽の間に入れて羽ばたく。砂浴びも水浴びも、鳥にとってはとても大切な仕事。綺麗になった身体で冬の陽を浴びる姿も…