ハナアブのホソヒラタアブとミナミヒメヒラタアブ

 ハナアブはアブと名前がついていますが、人を刺すアブではなく、ハエの仲間です。古くはショクガバエ(食蚜蠅)と呼ばれていて、アブラムシを食べるハエという意味です。一部の幼虫がアブラムシを主食とするためです。英語では Hoverfly、Flower flyと呼ばれています。人を刺すアブはHorse flyです。

 ハナアブ科ヒラタアブ亜科のホソヒラタアブは腹部が黄橙色と黒色の縞模様で、それぞれの節に(太帯と細帯の)各2本ずつの黒帯があるスマートなアブです。ホバリングしながら花から花へと飛び回り、都市郊外や人家の庭でもよく見られます。幼虫はアブラムシを食べます。

 同じハナアブ科ヒラタアブ亜科のミナミヒメヒラタアブは体長9mmほどの小型のアブで、腹部は細く黄と黒の縞模様です。成虫は花粉や蜜を食べ、作物の受粉を手助けします。やはり幼虫はアブラムシを食べます。畑での数はヒラタアブの中で一番多いようです。

*画像の個体がそれぞれホソヒラタアブ、ミナミヒメヒラタアブ(メス)であるというのはあくまで私の判定なのですが、そのために図鑑や論文を参照してみました。ハナアブ科やクロバエ科などの分類群のインベントリーの作成が進み、一般研究者でもある程度までは同定が可能になってきたようです。調べてみて、私のような素人にとって個体の特定が難しいことが妙に納得できました。