ヒオウギの花

 橙色に赤い斑点が入ったヒオウギ(檜扇、桧扇、日扇)の花が暑い中で咲き出しました。オレンジ色で斑点のある6弁花が咲いています(画像)。見事なオレンジ色は暑さに負けていません。葉が剣状で、何枚も重なり合って扇を広げたように見えることから檜扇となったようです。ヒオウギはアヤメ科で、別名はカラスオウギ。

 黒の枕詞に使われる「ぬばたま」はこのヒオウギの種子のことで、種子は丸く、真っ黒でツヤがあるのが特徴。『万葉集』では黒や夜、夕などの枕詞として使われています。

 *平安時代の『古語拾遺』によれば、厄災が村を襲った際、ヒノキでできた扇「檜扇」で扇ぐと、村が元通りになったという話があり、その檜扇と似ていることから同じ名前で呼ばれるようになったヒオウギは病気にかかりにくく、葉も長持ちするため、魔除けの花とされてきました。そのため、疫病退散を祈願する祇園祭の期間中、京町家の軒先や床の間などに飾られます。