タラノキの花

 タラノキウコギ科の落葉低木で、その新芽の「タラノメ」は山菜として人気があり、平安時代から食べられてきた。「山のバター」とも言われ、天婦羅、胡麻和えなどで食される。子供の頃の私は野菜が嫌いで、当然ながら山菜にもまるで興味がなかった。そのため、タラノメを食べたのは中年になってからのことで、正に「田舎育ちの田舎知らず」だった。

 そのタラノキが近くの歩道の植込みの中に花をつけているではないか。キンシバイの植込みで相当に背が高く、密になっていたためか、気付かれなかったのだろう。一瞬我が目を疑ったのだが、確かにタラノキで花まで咲いていて、立派な棘がついている。

 タラノキの開花は夏で、幹の先端に伸びた花茎に長さ50センチもの花序ができ、黄色の小花を咲かせる(画像)。花の後には直径3ミリほどの球形の果実ができ、それが秋になると黒紫色に熟すので、秋が楽しみである。

 *同じウコギ科のウドは「ウドの大木」などと言われるが、ウドは多年草であり、茎の内部は空洞になっている。タラノキとウドは新芽や枝葉が多少似るため、地域によってはタラノキをウドモドキと呼ぶ。