クワガタソウ属(Veronica)のオオカワヂシャ、オオイヌノフグリ

 淡い紫のベロニカ・マダムマルシア(画像)はコーカサス地方原産ですが、学名は「岩石の間を好む」という意味で、岩山を覆うように咲くことが窺えます。英語名は Groundcover speedwell で、グランドカバー用であることがわかります。

 どちらの花もオオイヌノフグリの花(画像)によく似ています。その花の色は青というより、青紫です。花のサイズもオオイヌノフグリ(Veronica persica)が僅かに小さい程度で、ほぼ同じです。

 オオイヌノフグリに似たオオカワヂシャ(大川萵苣、画像)もオオバコ科クワガタソウ属の植物。ヨーロッパからアジア北部原産で、日本には外来種として定着しています。特定外来生物オオカワヂシャは5月の川辺や水路に群生し、オオイヌノフグリとよく似た花をつけますが、それも道理で、同じ属の植物です。しかし、葉の形は違っていて、それでオオカワヂシャがオオイヌノフグリやベロニカの園芸種とは違うことがわかります。

 オオカワヂシャはユ-ラシア大陸原産の帰化植物で、日本在来のカワヂシャが環境庁のレッドデ-タリストに準絶滅危惧種として載っているのに対し、オオカワヂシャはあちこちで繁茂しています。その上、オオカワヂシャはカワヂシャと交配してホナガカワヂシャという新種を作り出しました。

 カワヂシャの名の由来は若葉がチシャのように食べられることから「川に生えるチシャ」と名付けられました。レタスはヨ-ロッパが原産で、現在の結球したレタスではなく、葉や茎を食べる野菜で、中国を経由してチシャの名で日本に伝わりました。一方、品種改良され、結球したレタス(玉ヂシャ)が江戸末期アメリカ経由で入って、現代ではこれをレタスと呼んでいます。チシャもレタスも元は同じです。

*ベロニカ属の植物に人が係わることによって、一見複雑な事態が生み出されているかにみえることがわかる。

オオイヌノフグリ

マダムマルシア

オオカワヂシャ

オオカワヂシャ

オオカワヂシャ