私の遅まきの関心

私の遅まきの関心:『斐太歴史の里の文化史-鎮守の森の文化財と斐太神社を訪ねて-』(妙高市教育委員会、2014)

 妙高市長からこの本をいただき、帰りの新幹線の中で早速読んでみた。私の勝手な関心は妙高市の二つの主要神社、関山神社と斐太神社の関係だった。ただ、この本はそれを主題にしていない。だが、『宝蔵院日記』を通じて初めて分かるようになった二つの神社の関係が述べられていた。とはいえ、それも僅かに過ぎず、悔しい限りである。

 また、斐太神社の祭神に関する詳しい考察でも、文献からは江戸期、明治期のものしかなく、神話のロマンは望むべくもなく、研究の実態を思い知らされた。

 神仏習合の見本のような関山神社と地域を仕切る延喜式内の斐太神社が共に妙高市にあるのは併合されたことによる人為的な理由に過ぎず、二つの神社は本来別物ということなのかも知れない。関山神社の祭礼に斐太神社から人が遣わされていたことがわかったが、それ以外の関係も知りたかった私には謎が増々深まったということである。

 仏教の関山神社と神道の斐太神社の詳しい比較考量だけでなく、それぞれの神社の氏子に対する意識アンケート、他の神社との関係等々、より実証的に妙高における神仏習合の実態が明らかになってほしいというのが私の勝手な願いである。

*本書は2014年刊行なので、現在はより実証的な成果が出ている筈である。