京紫と江戸紫

 関山神社の火祭りが三年ぶりに行われた16日は三連休の初日で、祇園祭の前祭(さきまつり)も宵山を迎えた。巡行を待つ山鉾が駒形提灯の明かりに照らされ、囃子が奏でられた。17日は前祭の山鉾巡行神幸祭の神輿渡御が行われる。

 ところで、京紫(きょうむらさき)は京都で染めた紫を指し、赤みがかった紫色。京紫は正統的な紫根染(しこんぞめ)の紫色で、その対が江戸紫(えどむらさき)。京紫が伝統的な紫を受け継ぐことから、「古代紫(こだいむらさき)」と呼ばれるのに対し、江戸紫は江戸時代の今様の色ということから、「今紫(いまむらさき)」と呼ばれた。江戸っ子が自慢する青みを帯びた紫は、京紫に対抗してつけられた色名のようだが、実際は京都上京の染師石川屋が作り出した色(色画像は左が江戸紫、右が京紫)。

 紫色の花は珍しくないが、手元にあるシコノボタンの画像を見比べると、京紫と江戸紫の色の違いを表すような二枚になっている。シコノボタンの花自体は京紫に近い色で、画像はたまたま光の関係で江戸紫の色になったのだろう。

 祇園祭の紫は京紫、深川八幡祭りの紫は江戸紫ということになると想像できるが、そうなれば、関山神社の火祭り、そして斐太神社やその他の神社の祭りにもそれぞれのシンボルカラーがほしいと思うのは私だけではあるまい(「火祭りは赤」は月並み過ぎるか)。