柿:実と葉

 子規の「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」は文句なく有名なのだが、その意味は何とも不可解。ところが、「柿」は漱石のことで、「お前さんから貰った十円の金をここでみな使っちまった」という子規の挨拶の句だという。こんな解釈は子規と漱石のことを知らなければできる筈もなく、わかったようで、わからないのが俳句だと妙に納得できる。

 西野文代の「通称はちんぽこ柿といふさうな」は子供の頃の柿の名称を思い出してしまう。「ちんぽこ」と聞いて、子供の頃に呼んでいた別の言い方を思い出す。大人たちが使うのを聞き、何か恥ずかしいような、緊張するような気分になったことが懐かしく思い出される。今はそれを聞いても、平然としたままというのも、これまた寂しい。