キバナコスモスとコスモス

 コスモスは「秋桜」と書き、別名がオオハルシャギク(大春車菊、大波斯菊)。コスモスに似た「ハルシャギク」の由来は波斯(ペルシャ)の菊。ペルシャとは全く関係ない謎のネーミングだが、大春車菊のネーミングも謎。私たちが通常「コスモス」と呼ぶのは、学名を「Cosmos bipinnatus」といい、和名が「アキザクラ」又は「オオハルシャギク」。一方、キバナコスモス(黄花コスモス、画像)は、学名「Cosmos sulphureus」で前者とは同科・同属だが、種が異なり、交配は不可。両種とも一年草で、原産地も同じメキシコ。
 コスモスの日本への渡来は1896(明治29)年で、草丈が2~3mになって分枝し、葉の形は羽状に細かく切れこみ線形になる。コスモスもキバナコスモスも18世紀末にメキシコからマドリッドの植物園に送られ、ヨーロッパに渡来した。キバナコスモスはオオハルシャギクと比べて葉が幅広く、切れ込みが深い。オオハルシャギクよりも繁殖力が旺盛。

 さて、space と universe は両方とも「宇宙」を指が、space は地球の大気圏より外の空間、universe は地球を含めた万物。space は人の生活世界の常識概念であり、universe は物理世界の科学概念。肝心のcosmosは円運動からなる秩序あるシステムとしての宇宙で、chaos(混沌)の対義語。だから、コスモスはかつての科学概念で、今では擬似科学あるいは形而上学の概念ということになる。

 最後に愚問。「秋桜」と書いて「コスモス」と読むのは「百日紅」と書いて「サルスベリ」と読むのと同じなのか。昭和52年に山口百恵が歌った「秋桜」という歌謡曲が大ヒットし、さだまさしは曲のタイトル「秋桜」を「コスモス」と読ませ、歌詞の中でも「秋桜」と表記して、「コスモス」と読ませた。さて、解答は?

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キバナコスモス

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キバナコスモス

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コスモス