真夏のクモたち:雑記

 以前、私の好奇心を呼び起こしたのがクモの「隠れ帯(白帯)」だった。ナガコガネグモの幼体は、自分の居場所の周りに隠れ帯をつける。ナガコガネグモの円網の中央には,太い白帯がついている(画像)。ナガコガネグモだけではなく、コガネグモにも白帯が見られる。白帯が紫外線を反射していることと、網自体は紫外線をほとんど反射しないこと、白帯があるほど網に昆虫がよくかかること(誘引説)が証明された。白帯だけでなく、クモの体も紫外線を反射することによって昆虫を誘引しているという結果は意外なものだった。
 ナガコガネグモ(長黄金蜘蛛)の名の由来は、コガネグモ(黄金蜘蛛)より体型が細長いことから。そのコガネグモは腹部が広く、縞模様も細め。中央より上の黒帯模様はギザギザになり、後部には細かい縦筋が入り、腹部には黄色の帯2本が縦に入る(画像)。ジョロウグモジョロウグモ属に属するクモで、アジア圏に分布し、日本では北海道以外の場所で見られる。名前の由来は二つの説がある。昔の遊郭の女性を指す「女郎」という言葉が由来とする説と、大奥の高級女官「上臈(じょうろう)」が由来とする説。英語ではJoro Spider。

 女尊男卑がこれら三種のクモの世界。コガネグモの雄は触肢という生殖器官を1組だけ持ち、1回の生殖行為に触肢1本が必要であるため、最大2回しか交尾できない。コガネグモの雌は、交尾が10秒以上かかると、自分よりもはるかに小さい雄を食べてしまう。ナガコガネグモの雌雄の同居期間はお盆頃で短く、オスはメスの最終脱皮直後に求愛するが、メスに捕食される場合がよくある。ジョロウグモのオスはメスの半分以下の大きさしかない。ジョロウグモのメスは目が悪く、巣にかかったものは何でも食べてしまい、交配のために近づいたオスも気づかずに食べられる場合がある。

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