オシロイバナの花たち

 メキシコ原産のオシロイバナ白粉花、白粧花)は江戸時代初期に渡来。最初は観賞用に栽培されましたが、その後野生化し、湾岸地域でもあちこちの道端で咲いています。開花時期は6月末から10月末頃。タネをつぶすと、白粉(おしろい)のような「白い粉」が出てくるのが名前の由来です。名づけ親は江戸時代の博物学貝原益軒。夕方頃に活動する昆虫を花の色で引きつけ、夜に活動する昆虫をその香りで引きつけます。

 別名は「夕化粧」(ゆうげしょう)で、その名のように夕方から咲き出します。ラッパ型の花は夕方から開き、翌朝まで咲いていて、午前中には萎む一日花。夏の間ほとんど途切れることなく次々と咲き続けます。白花や黄花のものは、暗がりの中でも浮き上がるように花が目立ちます。花色は赤、白、黄。1本の株から異なる色の花が咲くことから、英語では「marvel of Peru(ペルーの驚異)」と呼ばれています。梅や桃では紅白の花が咲く「源平咲き」が知られていますが、オシロイバナも一つの株に異なった色の花が咲くことがあります。また、白や黄色の花に赤いストライプや斑点の混じることもあり、この模様が「絞り」とか「斑(ふ)入り」と呼ばれます(画像)。

 その「咲き分け」のメカニズムを調べると、特殊な遺伝子の働きが浮かび上がってきます。DNAの中にトランスポゾンと呼ばれる部分があり、その働きによって咲き分けが起こることがわかってきました。トランスポゾンはアメリカの遺伝学者マクリントックによってトウモロコシの分子レベルでの遺伝研究によって発見されました。彼女はその研究からノーベル賞を受賞しています。