バラの花たち(2)

 バラの起源は7,000万年程前で、チベット周辺、中国の雲南省からミャンマーあたりで生まれたと言われています。紀元前6世紀頃にギリシャやローマでは、バラが栽培され、詩人サッフォーや哲学者プラトンアリストテレスなどの著作にもバラが登場しています。バラの花は純潔、官能的な喜び、恋慕の感情の象徴であり、古代ギリシア・ローマ時代から文学表現になくてはならないものでした。バラのイメージの起源は愛の神エロスであり、国境を越えて広まりました。詩や文学の世界で花々の頂点に君臨するバラは、プルーストにとっても官能の目覚めを象徴し、同時に欲望を示唆するものでした。

 さて、プラトンアリストテレスの哲学の違いは中世の実在論論争にまで尾を引くのですが、プラトンの「バラのイデア」、つまり、理想のバラ、バラ自体は実在するのでしょうか。アリストテレス風に考えるなら、画像にあるようなバラはどれも違った存在であり、それらを総称して「バラ」と呼んでいるに過ぎません。そのため、バラのイデアは存在しません。プラトン風には、バラのイデアが実在し、画像のようなバラはどれも、イデアをコピーしたものに過ぎません。

 そんな論争とは別に、美しいバラの花を見ると、そこには理想の美が凝縮しているとつい思い込んでしまい、大袈裟に美のイデアの実現だなどと呟いてしまう人が少なからずいる筈です。

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