ドラセナの花

 我が家には20年来の観葉植物が家の誰からも半ば無視される形で生き続けている。実際、誰も名前さえ知らない儘だった。そんな冷たい家族の中で文句も言わずに居間に居続けていた。その木の上に新しい枝が伸び出したのは今年の正月で、蕾が幾つもつき出し、甘い液を出し始め、2週間ほど前の夜にいい香りを放ちながら、花が開き出した。朝方になると花は閉じ、昼間は香りさえしないのだ。そこでようやく思い腰を上げて、この観葉植物は一体何者かと調べてみると、それは「ドナセラ」と呼ばれていた。さらに特定すると、強い香りを夜に放つことから、ドナセラ・フラグランス・マッサンゲアナだとわかった。

 

 鼻水を たらしながらの 開花かな

 

 ドナセラは熱帯アフリカが原産で、10年に一度花を咲かせるという長寿の植物で、「幸運の木」とも呼ばれている。カナリア諸島では、1,000年以上の樹齢をもつドラセナが発見され、生命力が強い樹木として知られている。葉の形や色合いが美しく、幹が柔らかくアレンジしやすいことから、個性的な樹形をした観葉植物として人気があり、温かい地域であれば地植えにもできる。

 Dracenaはラテン語で「メスの竜」という意味で、ドラセナのいくつかの種類に真っ赤な樹液を出すものがあることに由来する。15世紀のカナリア諸島では、この樹液をドロップ状に固めたものが「竜血」という特産品としてアラブやインドの商人たちによって取引されていた。

 ドナセラを生き残らせるには花のついた茎は切り取る方がよさそうだ。

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