斐太神社雑感

 妙高市の神社となれば関山神社と斐太神社。「関山権現」は修験道との神仏習合如実に示す表現ですが、斐太神社にも神仏習合が見られます。斐太神社の御祭神は大国主命(おおくにぬしのみこと、八千矛神大国主の異名) 事代主命(ことしろぬしのみこと、矢代大(明)神)、 建御名方命(たけみなかたのみこと、諏訪大神)です。ここに既に習合の跡が見られます。複数の神を祭ること、複数の名前をもつことは習合の基本です。つまり、複数の神を習合して祭ること、斐太神社では事代主命が矢代大神であるという習合がここに見られるのです。

 さて、事代主命建御名方命の二人とも大国主命の子供です。そして、事代主命美保神社の祭神、建御名方命諏訪大社の祭神です。事代主命はえびす様(釣り好きの豊漁の神)であり、父親の大国主命は大黒様と呼ばれてきました。大黒様の例は神の単なる習合ではなく、異なる宗教の神々の習合の例になっています。

 えびす様は事代主命を祀ったもので、古くは「大漁追福」の漁業の神です。時代と共に福の神として「商売繁盛」や「五穀豊穣」をもたらす神となりました。唯一日本由来の神です。一方、大黒様、つまり大黒天はヒンドゥー教シヴァ神の化身マハーカーラ神で、大国主命と習合します。「大黒柱」と表現されるように食物・財福を司る神となりました。親子関係があることから大黒様とえびす様とは並んでよく描かれます。

 このように見てくると、関山神社の神仏習合と斐太神社の神仏習合は相当に性格の異なる神仏習合であることがわかる筈です。神仏習合というと日本独特の宗教現象に見えますが、習合現象は多岐にわたることがわかり、日本だけのものではないことも予想できそうです。