野生化したバーベナの復帰

 湾岸地域の空き地や路傍でいつも夏にお目にかかるのがヤナギハナガサやアレチハナガサ。どう見ても野生の雑草にしか見えない。二つの区別は茎が中実だとアレチハナガサ、中空だとヤナギハナガサだとわかり、胸のつかえが下りたのだが、バーベナの栽培種が野生化し、アレチハナガサ、ヤナギハナガサ、そしてダキバアレチハナガサが生まれたというのが進化の歴史だと知り、びっくり仰天。

 ヤナギハナガサは、アレチハナガサを園芸種として改良した植物という印象があるのだが、実際はどちらも観賞用として持ち込まれた帰化植物だった。どちらも南米原産の外来種で、名前が似ているだけでなく、その姿もよく似ている。花が咲くと、ヤナギハナガサの方が鮮やかな小さい花をたくさんつけるが、アレチハナガサの花はうす紫色で花数が少なく目立たない。

 ヤナギハナガサはクマツヅラ科クマツヅラ属の多年草で、サンジャクバーベナとも呼ばれる。ヤナギハナガサは宿根バーベナの一種で、元々は観賞用に栽培されていたものが、虫害や気温差に強いというその頑健な性質から空き地や道端などでなかば野生化した。それが、最近は公園の花壇に復帰し、野性味を残したまま、再度園芸種として人気が高まっている。人の好みは彼らの運命を操ってきたようで、申し訳ない気がしないでもない。

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左ダキバアレチハナガサ、右アレチハナガサ

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ヤナギハナガサ

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