チロリアンランプの花

 アオイ科アブチロン属の植物は熱帯から亜熱帯にかけて100種以上分布しますが、そのうちブラジル南部原産で半つる性の「アブチロン・メガポタミクム(A. megapotamicum)」に、「ウキツリボク(浮釣木)」という和名が付けられています。でも、一般には「チロリアンランプ」という名前のほうが使われています。

 チロリアンランプの花はその名の通り、小さなランタンを吊り下げたような形で、赤い袋状の萼(がく)と黄色の花弁を持っていて、萼と花弁が共同して(広義の)花をつくっています*。鮮やかな赤と黄色の色のコントラストが鮮明です。和名の「ウキツリボク」は花の形を魚釣りのためのウキに見立てています。長さは5㎝ほどで、袋状になった赤い萼の先端から黄色の花弁が顔を出し、その花冠からさらに雄しべが花柱を包み込んで、突出します。花期は長く、初夏から晩秋まで咲き続けます。

*「花を哲学する」で私が述べてきた広義の花、あるいは花擬きの例の一つです。萼と花弁(狭義の花)の合作を私たちは(広義の)花として鑑賞しています。

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