キュウリグサの小さな花

 2月も中旬を過ぎると、野原に春の花が咲き始めます。そんな野草の一つがキュウリグサ(胡瓜草)。キュウリグサの花はとても小さく、よくよく見ないと見過ごしてしまうのですが、目を近づけてみると、ワスレナグサによく似た花をつけています。

 キュウリグサムラサキ科キュウリグサ属の野草で、その名前は葉を揉むとキュウリのような匂いがすることに由来します。直径2mmほどの淡青紫色の花を開きます(画像)。そのキュウリグサを拡大したような花をつけるのがワスレナグサワスレナグサ(勿忘草、忘れな草)もムラサキ科で、ワスレナグサ属の総称です。直径5mmほどの花が咲きます(画像)。薄水色の小花を咲かすキュウリグサと違って、青色がはっきりした花のワスレナグサは花壇に似合います。

 キュウリグサは史前帰化植物ワスレナグサ帰化植物です。ワスレナグサは「私を忘れないで」という意味の英語名「forget-me-not」、ドイツ語名「Vergissmeinnicht」の日本語訳です。勿忘草の「勿」は「してはいけない」の意味で、牧野富太郎は「私を忘れるなよ」の意味で「ワスルナグサ」と呼ぶほうがよいと述べています。

キュウリグサワスレナグサの違いは?まずは花の色。キュウリグサの花が薄水色なのに対し、ワスレナグサの花は濃い青色をしています。ワスレナグサにはこのほか、白やピンクの花を咲かせる品種もあります。次は花の大きさ。キュウリグサの花は直径2mmほどしかありませんが、ワスレナグサの花は直径5mmほどあります。また、キュウリグサが野草なのに対し、ワスレナグサは園芸種。

**ノハラムラサキ(野原紫)、ハナイバナ(葉内花)、タビラコモドキ、ヒロハワスレナグサ、シンワスレナグサ(真勿忘草)等々、微妙に異なるワスレナグサに近縁のものが多く、どれもよく似ていて、私には正確な区別がつきません。