ヤシについての無知のループからの脱出

 「ヤシが身近にない、知る機会がない、だから、関心、好奇心が持てない」という無知のループが子供の頃の私にはあって、「椰子の実」の歌詞がうまく想像できず、さらに、南の国の草木は全くの謎で、その結果、椰子の類はまるで実在感がなかった。今でも残り、見え隠れする無知のループからの脱出のきっかけが近くで見つけたチャボトウジュロ、サバルヤシ、そして、メイジマビロウ。

 チャボトウジュロ(矮鶏唐棕櫚)は地中海沿岸原産で、ヤシ科チャボトウジュロ属の常緑耐寒性灌木。幹の先端から長い葉柄を持つ団扇型の葉を10~20枚叢生する。また、葉柄には鋭利な棘がある(画像)。

 サバルヤシはアメリカ南部、キューバなどを原産とするヤシ科サバル属の常緑中高木で、アメリフロリダ州の「州の木」。熊手のような大きな葉っぱからクマデヤシと呼ばれることもある。もう一つの特徴は編み込まれたような幹肌(画像)。

 最後がオガサワラビロウで、小笠原諸島に広く分布している常緑樹。島では戦前からシュロの名前で親しまれ、屋根を葉でふいたりするなど、島民の生活と文化を支えてきた。幹は葉柄が落ちた痕の環状の模様が特徴。葉は掌状深裂(画像)で、葉柄の基部には基部方向に曲がった2列の棘があります。中には棘のないものもあり、棘無しビロウとも呼ばれているが、母島やその属島にある棘のないものは「メイジマビロウ」と呼ばれる。

*画像は順にチャボトウジュロ(二枚)、サバルヤシ(一枚)、メイジマビロウ(三枚)