ヨウシュヤマゴボウの花

 ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)とは何とも野暮な名前だが、意外と街中に生き続けている。ヤマゴボウヤマゴボウ属の多年草で、別名はアメリヤマゴボウ。ヨウシュ(洋種)が示すように、北米原産の帰化植物で、日本に入ってきたのは明治元年ヤマゴボウ(山牛蒡)は日本に古くから自生する野草で、根がゴボウに似ているのでヤマゴボウ、海外から入ってきたヤマゴボウという意味でヨウシュヤマゴボウとなった。

 ヨウシュヤマゴボウの高さは2m前後に達し、茎は無毛で赤く、根は太く長い。葉は大きく、秋になると紅葉する。6月頃から白色や薄紅色の花の花穂を枝先につける(画像)。熟した果実は柔らかく、潰すと赤紫色の果汁が出る(画像)。この果汁は染料になり、黒く熟した実をつぶすと、赤紫の汁が出る。これが衣服や皮膚に付くとなかなか落ちない。

 子供の頃はあちこちでヨウシュヤマゴボウを目にしていたのだが、雑草にしては目立つという程度の関心しかなかった。老いた今、元気に実をつけるヨウシュヤマゴボウは湾岸地域の道端にも自生し、眼を引く存在で、つい凝視してしまう。ヨウシュヤマゴボウは有毒で、果実の中の種子は毒性が高い。

 ヨウシュヤマゴボウは私の記憶にしっかり残り続ける優れもの。ヨウシュヤマゴボウというと、あの黒く光るブドウのような実ばかりが印象に残っていて、花は記憶にないという方も多いのではないだろうか。あるいは花だと気づいていないのかも知れない。ヨウシュヤマゴボウの花の一つ一つは非常に小さく直径3~5mm程度。