2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

量を表現すれば、それは数になる

「量と数」の関係は「量と質」の関係に似ていると言うと、何やら哲学的な雰囲気が漂ってくる。「量から質への転換」はヘーゲルであれば「弁証法的な止揚プロセス」だと断言して憚らないだろう。量や質の議論には量や質が何なのかをきっちり理解しておかなけ…

トケイソウ

久し振りにトケイソウが自生する場所に行くと、フェンスに蔓が巻きつき、丸い時計の文字盤のような花が幾つも見え、壮観である。目を凝らせば、今年もトケイソウが繁茂し、ハチの訪問まで見られる(最後の二枚の画像)。私には機械論の象徴だった時計のイメ…

限界集落と『平家物語』:滅びの美学

地球温暖化や世界規模での格差増大、人口増加や貧困といった問題に直面し、自然や社会の持続可能な存続を模索するという試みや話が最近は滅法多い。絶滅をどのように免れ、未来の幸福な生活を確実にするかという課題の設定は健全で文句のつけようがないのだ…

カルミアの美

子供の絵と画家の絵の違いは何か。それをわかりやすく示すのが、野草とカルミアの違い。でも、カルミアの美しさは人の意図や意匠の入った美しさで、私たちとは無縁の世界で勝手にできあがった美とは違う。とても人間的な美であり、画家の作品を見るように鑑…

かつて言語は一つだったのか:バベルの塔の物語と自然言語の発生メカニズム

「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。この業は彼らの行いの始まりだが、おそらくこのこともやり遂げられないこともあるまい。それなら、我々は下って、彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」 – 『創…

ハナヤエムグラ

ハナヤエムグラ(花八重葎)はアカネ科の植物で、原産地はヨーロッパ、北アフリカ、南西アジア。帰化植物でハナヤエムグラ属の唯一の種で、ヤエムグラ属と近縁。私が見たのも一か所のみ。1961年に習志野で初めて見つかり、今でもあまり多くはないようだ。荒…

曖昧で、不確定なもの

近視の私に見える風景は曖昧で、ぼんやりしている。電車や自動車に乗って、知覚像が揺らぐのも何度も経験済みである。曖昧で、揺らぐ知覚像はわかるのだが、概念や対象はどうなのだろうか?概念は曖昧で、揺らぐのか?それとも、曖昧で、揺らぐのは対象なの…

タチアオイ(立葵)

夏の植物として私の記憶に残っている一つがタチアオイで、アオイ科の多年草。昭和期にはもっとあちこちで栽培されていたと思うが、最近は滅多に見なくなった。当初は中国原産と考えられていたが、現在はビロードアオイ属(Althaea)のトルコ原産種と東ヨーロ…

本能を学習する:Hard Empiricism

1歳前後からの幼児の成長を見ていると、言葉や知識はまだでも、感情や欲求の学習は実に見事で、それらの学習は模倣に基づくとはいえ、それに尽きる訳ではなく、驚嘆そのもの。周り人々の顔の表情、喜怒哀楽を幼児は着実に習得していく。食べ物の味、寒暖、好…

らせん状に花が咲くネジバナ(捩花)

「ネジバナ」とは直接的な命名で即物的に響くが、ラン科の小型の多年草、別名がモジズリ(綟摺)で、興味深い特徴がある。花序がらせん的で、右巻きと左巻きの両方があり、中には花序がねじれない個体や、途中でねじれ方が変わる個体もある。らせんが右巻き…

言葉のもつ力と、それを操る力

私たちは言葉をもつ動物。その言葉は自分の信念や欲求を正確に表現し、的確に相手に伝える力、能力をもっています。真実を、正確に、詳細に、雄弁に表現できるのが私たちのもつ言葉の力で、その力は他の動物のコミュニケーション能力をはるかに凌駕していま…

強かなる雑草たち

最近は雑草、それも小振りな雑草ばかり気になり、つい眼は地面にばかり向いてしまう。下ばかり見て歩く陰気な人間に見えるに違いない。そんな愚痴は横に置き、雑草たちは自然淘汰の荒波にもまれて生き延びてきた優等生たちで、それだけに見かけとは裏腹に強…

コロナの謎、日本の謎(2):解除前後の日本の状況

6月に入り、経済活動が戻り出し、これまでの対策、今後の準備についての議論が活発になっている。元気がいいのは関西で、大坂の知事だけでなく、京大や神戸大の何人かの教授たちも賛否の声を荒げている。8割自粛など根拠なしの過剰反応に過ぎないというブラ…

「私は、好きだ」と「私が、好きだ」の違い

とても意味深なのか、ほぼ無意味なのか、よくわからないのがタイトルの二つの文。いずれの、電車のつり革広告の表現。実は「上善如水」の広告の中の文なのだが、これら文を見つめながら、何がメッセージなのかわからなくなり、考え始めたのが発端。そもそも…

タイサンボク(泰山木、大山木)

タイサンボクはモクレン科モクレン属の常緑高木。モクレンは3月から4月初旬に開花するが、タイサンボクは今花が咲いている。画像の花は歩いていて、突然眼に入ってきたもの。タイサンボクの花は大きいのだが、遥か頭上のものが多く、意外に気づかれない。中…