感染と感染増加

 5~11歳の子供へのワクチン接種が「推奨」から「努力義務」に変わり、「努力義務」は努力だけでは不十分で、とはいえ、義務以下であることを主張したいようなのですが、厚労省のホームページを読んでもその説明はよくわからず、霞が関文学頑張れと応援したくなります。

 人口減少や人口増加のリスク(risk、将来何か悪いことが起こる可能性のこと)は有意味でも、「人口のリスク」は意味不明です。「感染増加のリスク」も「感染のリスク」も有意味な表現です(人口は善し悪しとは無関係、感染は悪しきことです)。「安全減少のリスク」と「安全のリスク」となると、共にとても奇妙な感じがします。

 感染症の専門家が「感染増加のリスク」という時、「感染のリスク」と何が違うのでしょうか。「感染増加のリスク」は統計的な概念で、「感染のリスク」は個別の出来事を指しているのでしょうか。素人は感染のリスクが高くなれば、感染増加のリスクも高まると考える筈です。でも、その反例を考える天邪鬼がいます。「閉鎖された施設は感染のリスクが高まるが、感染増加は閉鎖されていることによって起こらないので、感染増加のリスクは高まらない」がその反例のタイプです。そして、この反例は感染する理由と感染が増加する理由とは異なる場合があることを示しています。それでも、この反例は稀な場合で、多くの場合は「感染のリスクが高まると感染増加のリスクも高まる」と専門家は反論する筈です。