モネの池と庭

 「モネの池」と「モネの庭」はよく似た名前だが、偶然の一致にしてはよく似た要素が多く含まれている。
 「モネの池」は岐阜県関市板取の根道神社の参道脇にある貯水池の名前。高賀山の伏流水を使って1980年頃に灌漑用にに整備された。農業用水確保のためのいもり池とよく似ている。「モネの池」は通称で、正式の名称ではない。地元では「根道神社の池」、あるいは単に「池」と呼んでいる。池は雑草が生い茂っていたが、近くの小林佐富朗氏が1999年に除草を行い、スイレンコウホネを植えた。また、池で泳ぐコイは地元住民が自宅で飼えなくなって持ち込んだもの。観光目的で意図的に作られた池ではなく、偶然が積み重なってモネの睡蓮を彷彿させる池となった。池の大きさはテニスコートよりも少し大きい程度。常に湧き水が流れ込み、湧水池となっているため、年間水温がおよそ14°C。日差しの変化や池の水量によって池の水の色も微妙に変化する。池の水の透明度は極めて高いが、高賀山が流紋岩類で構成され、そこからの湧き水には養分が含まれず、微生物が育たないためである。
 昨日紹介した高知県北川村「モネの庭」マルモッタンはモネが愛した庭を再現した世界に二つしかない庭園。モネが自分の池で咲かせることを熱望した青い睡蓮(青い睡蓮は熱帯性でマルモッタンでは生育できなかった)も咲いている。モネの庭の再現ではあるが、温暖な気候の高知だからこそ花を開くことができた青い睡蓮も咲いている。その他にも色とりどりの睡蓮が浮かぶ水の庭の見頃は、4月下旬から10月下旬と長い。モネが熱望した青い睡蓮の見頃は6月下旬から10月下旬。こちらは「モネの池」とは違って大いに観光を意識した庭園になっている。
 いずれの池もとても美しく、現在のいもり池と比べれば、勝敗は自明である。このような池や庭を知ると、いもり池についてもスイレンの駆除だけではない有効利用が現実味を帯びてきてもおかしくない。

*モネの池、北川村モネの庭マルモッタンについては次のWikipediaの項目を参照。
https://ja.wikipedia.org/wiki/モネの池
https://ja.wikipedia.org/wiki/北川村モネの庭マルモッタン