台風一過の蝉の声

 昨日の朝方は台風のために雨が降り、風が吹く中で女子のトライアスロン競技が始まった。昼前には風雨がおさまり、青空と太陽が戻ってきた。すると、一斉に蝉の声が聞こえだし、大合唱が始まった。梅雨が明けて既に蝉の声はあったのだが、台風一過、蝉時雨となった。

 「雨あがり 夏の陽戻る 蝉時雨」と呟きながら、聞き入れば、クマゼミアブラゼミ、そしてミンミンゼミの合唱があちこちの木々から聞こえてくる。蝉たちの気象変化への反応の鋭さを感じたのは一斉の合唱だけでなく、2時間ほど後にはすっかり鳴き声が小さくなったことである。つまり、湾岸地域で私がいつも聞く正常の鳴き声状態に戻ったのである。

 実際のところ、セミはオスだけしか鳴かない。雨はセミの天敵のようなもので、メスが飛んでこないで、気温も下がるため、オスは鳴かないのだと説明される。さらに、雨があがり、日が差し、気温が上がると、オスたちが一斉に鳴き出すというのである。

 こんな説明より、大合唱は自然の一瞬を適確に掴んだ蝉の青春の謳歌であり、凛とした夏の一瞬を蝉たちは本能的に掴んだのだと思いたくなる。雨あがりの清々しい夏の僅かな時間を蝉たちが敏感に感じ、それに短い命を共鳴させ、大合唱になったのだと夢想したくなるのである。

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