モチツツジ 「ハナグルマ」の花

 モチツツジ 「ハナグルマ」(黐躑躅「花車」、Rhododendron macrosepalum cv. Hanaguruma)は日本固有種でツツジツツジ属の低木モチツツジRhododendron macrosepalum)の園芸品種です。花車は江戸時代から栽培されている古典的な品種で、花色は明るい紫紅色で、白花もあります。花弁が全裂し、細長く分かれ、萼片や葉に粘りがあります。

ツツジで有名な根津神社には白花の花車があります。

*ロードデンドロン・カナデンセ(Rhododendron canadense)は原産地カナダの河川や湖の周りなどの湿地、高地の林地で見られるツツジ。私の知る画像の中には花車によく似たものがある。

 

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花

 タイトルは七七七五の都々逸の形式で、立っても座っても、また歩いても、姿が艶やかで魅力的な女性を花に譬えたもの。百合はまだだが、芍薬や牡丹が咲き始めている。

 ボタンによく似ているのがダリアで、メキシコの国花。ダリアは花の形がボタンに似ているため、和名は「天竺牡丹」。夏から秋にかけて開花し、大きな花輪と色鮮やかな花色と咲き方が特徴。ダリアの故郷はメキシコからグアテマラにかけての高地。日本には江戸時代末期にオランダより渡来。

 深川の古石場川も大横川と平久川をつなぐ木材屋用の掘割・運河だった。今ではその川を残し、かつての川辺は古石場川親水公園に生まれ変わっている。この公園には七つの橋があり、その一つ小津橋は小津安二郎を生んだ小津家に由来する。ボタン、アジサイ、バラが多く、牡丹側にはボタン園、平久川側にはバラ園がある。ボタンの開花時期は今頃からで、中国原産で、中国の国花。日本へは奈良時代に渡来したらしい。中国名の「牡丹」を音読みして「ぼたん」の呼び名になった。

 シャクヤク芍薬)はボタン科の多年草。初夏にボタンに似た花を開くのだが、今年は既に開き出している。シャクヤクは中国やモンゴルなど東アジアが原産で、日本へは平安時代以前に薬草として伝わり、その後観賞用として多種類の園芸品種が作られた。ヨーロッパへは18世紀前半に伝わり、イギリスやフランスを中心に品種改良が行われてきた。花は一重、八重があり、花色も様々。

*ボタンは樹木、シャクヤクは草。シャクヤクはボタンが咲き終えると、咲き出す。華やかな大輪の花を咲かせるボタンとシャクヤクも見分け方が難しい花である。ボタンの葉は光沢がなく、切れ込みが入っているが、シャクヤクの葉は光沢があり、切れ込みが入っていない。また、ボタンはほとんどの品種で香りがないが、シャクヤクはバラ風の香りがある。さらに、ボタンの花は花びらが1枚ずつ散り、シャクヤクの花は開花した状態で花の頭ごとそのまま下に落ちる(サザンカとツバキの違いに似ている)。

 ユリが風をうけて揺れる様子は、まるで女性が優美に歩いているようで、しなやかな茎の先にややうつむき加減に花が咲く。そして、風をうけて揺れる様子はまるで女性が優美に歩いているように見える。甘い香りは香水としても人気があり、こうした花のイメージから、女性の名前にもよく用いられている。

**画像はボタン、ダリア、シャクヤク、そしてユリ

 

カラフトヒヨクソウの花

 カラフトヒヨクソウ(Veronica chamaedrysゴマノハグサ科クワガタソウ属)を見れば、私を含め、大抵の人はオオイヌノフグリだと思うに違いない。鮮やかな青い色の花が咲き、群生していると、誰もがつい見惚れてしまうのではないか。花はオオイヌノフグリよりも一回り程大きい。カラフトヒヨクソウはヨーロッパから樺太まで分布する多年草で、分布は広い。画像はその園芸種で、茎や葉には毛が多い。

*クワガタソウ属の仲間には、オオイヌノフグリイヌノフグリ、コゴメイヌノフグリ タチイヌノフグリ、フラサバソウ、そして、オックスフォードブルー、マダムマルシア、オオカワジャといった園芸種を記してきた。このリストにカラフトヒヨクソウが加わることになる。慣れ親しんできた野原の雑草が園芸種に仕立て上げられ、野生種と園芸種の間が近いことを直接的に感じることができた。

**最後の二枚の画像はそれぞれオオイヌノフグリ、オックスフォードブルー

 

グラジオラス・ピュアベールの花

 アヤメ科のグラジオラスの別名は「唐菖蒲(とうしょうぶ)」。それをヒントに植物図鑑のアプリを検索し、以下のような順に植物名の特定が進行していったのが昨年の今頃だった。今話題の生成AIで名前が不明の対象をどのように検索し、特定するのか、格好の例として、年甲斐もなく考え込んでしまった。このような場合、私がAIにどのように質問するかが格段に重要で、質問の仕方に解答が大きく左右されるのが、特に名前の同定の場合である、と実感した。

 アプリの植物図鑑によれば、まず該当したのがアシダンセラ(Acidanthera bicolor(syn. Gladiolus murielae))。次に登場するのがグラジオラス・カルネウス(Gladiolus carneus)で、これも南アフリカ原産で、アヤメ科グラジオラス属の多年草。花色や花姿の画像から、私が見たものによく似ているが、それでも微妙に異なる。そこで、ランダムに園芸記録や日記などを漁り、「春咲きグラジオラス・ピュアベール」を見つける。「ピュアベール」を調べると、2001年にグラジオラスの一つとして品種登録されたもので、5月前後に開花することも判明。このピュアベールは私が見たものとピッタリだとわかる。

 昨年遭遇したのとほぼ同じ場所で、同じものを見つけた時はとても不思議な気持ちになった。だが、秋に球根を植え、春に花が咲くのがピュアベールで、原種に近く、栽培は至極簡単なようで、私が昨年と同じ場所に見つけたのも、何となく納得がいくのである。とはいえ、ほぼ1年ぶりの再会で、暫し見惚れるしかなかった。

 

トウダイグサ属の三植物

 トウダイグサ科は約300属7500種以上を含む巨大な科です。特に、トウダイグサ(ユーフォルビア)属 (Euphorbia) が多く、何と1500種を越えます(科や属が多いことの意味はいずれじっくり考えてみたいと思っています)。

 トウダイグサ属の花は雌雄異花で、特殊化した花序の杯状花序をつけます。小型のカップ状の総包(蜜腺を有する)の内側に単一の雄しべからなる雄花が輪を作り、中央に単一の雌しべからなる雌花が1個あり、全体として1個の花のように見えます(画像で確認して下さい)。

 ユーフォルビア・ミルシニテス(Euphorbia myrsinites)はヨーロッパ原産でユーフォルビア属では唯一の這性(はいせい、茎や枝が地表を這うように伸びる)品種。葉はシルバーグレーで肉質、やや丸みを帯びます。花弁が退化し、花は雌蕊1、雄蕊数本が苞に包まれた杯状花序を形成しています。ユーフォルビア×マルチニ(Euphorbia×martini)はヨーロッパの地中海沿岸からトルコ、イランにかけて分布しています。葉は卵形で、先端が鋭く尖り、茎頂に杯状花序をだし、小さな花を咲かせます。ユーフォルビア・ヒベルナ(Euphorbia hyberna)は、多年生で根茎のハーブであり、多数の丈夫な、長い(最大70 cm)横紋があります。葉は楕円形で、固着しており、わずかに波状で長くなっています。

*最初の画像がユーフォルビア・ミルシニテス、次の画像がユーフォルビア×マルチ、最後の画像がユーフォルビア・ヒベルナ

 

ウエストリンギアの花

 ローズマリーかと思って近づくと、何か違うというのがウエストリンギア。ウエストリンギアはオーストラリア原産のシソ科ウエストリンギア属の半耐寒性常緑低木で、当初日本では「オーストラリアン ローズマリー」という名前で流通が始まったようです。でも、近年「ウエストリンギア」という名前が定着してきました。ローズマリーに似ていますが、ローズマリーにある香りがウエストリンギアにはありません。ウエストリンギアはハーブではありません。「似て非なるもの」は植物の世界では何ら珍しいことではありません。

ローズマリーは地中海沿岸が原産の耐寒性の常緑低木

ローズマリーモーツアルトブルー

 

トウキョウコシビロダンゴムシ

 「ダンゴムシ」と言う名前は随分久し振りに聞いた気がする。復習すれば、「ムシ」という名前がついていても、昆虫ではなく、ワラジムシ目で甲殻類に属する生きもの。ダンゴムシはヨーロッパからやってきた外来種で、明治以降に日本に入ってきた。ダンゴムシも海で暮らしていたものが陸で暮らすようになったので、海にもたくさんの仲間がいる。画像を見て、ダンゴムシのオスとメスは区別できるだろうか。メスには身体に模様があるが、オスにはほとんど模様がないので、答えはほぼ自明。

 ダンゴムシは夜行性だが、昼間でもよく見かける。甲殻類は体がヨロイのような作りになっていて、骨と同じで身体を支える役割を担い、カルシウムで出来ている。ダンゴムシ類は水が好きで、水をよく飲む。ところが、口で飲むのではなく尻で水を飲む。

 ダンゴムシは本来ならえら呼吸だが、陸でえらは役に立たず、腹部の白い部分が呼吸する器官になっている。どのように進化してきたのか、とても気になる。さらに、メスは子供を育てる袋を胸部にもち、卵はそこで孵化し、暫くは袋の中に子供を抱えている。このように、何とも謎だらけなのがダンゴムシ