新緑が 老いの心を ときめかす

 連休の日本は新緑の中にあり、喧騒とした人の世界は新緑の自然の世界とは好対照。暫しであれ、新緑に浸り、憂さを流したいものである。教科書によく出る中村草田男の「万緑の 中や吾子の歯 生え初むる」(万緑は新緑のこと)だけでなく、新緑を詠んだ句は多い。

 

山口誓子 新緑の 中黄(ちゅうき)に近き 緑あり

(新緑の葉の中に、中ほどがまだ黄色に近い色の葉がある。)

日野草城 新緑や うつくしかりし ひとの老

(新緑の若葉が出るのと比べても、人の老いていくのは美しい。)

稲畑汀子 塔仰ぐ とき新緑に 染まりつつ

(塔を仰ぎ見れば、季節は新緑に染まりつつある。)

 

新緑の 香り漂い 老いの午後