「ヤシが身近にない、知る機会がない、だから、関心、好奇心が持てない」という無知のループが子供の頃の私にはあって、「椰子の実」の歌詞がうまく想像できず、さらに、南の国の草木は全くの謎で、その結果、椰子の類はまるで実在感がなかった。今でもそれが残り、眼前のメイジマビロウによって見え隠れする無知のループから脱出できるかどうか、久し振りに子供の頃の気持ちが蘇ってくる。
オガサワラビロウは小笠原諸島に広く分布している常緑樹。島では戦前からシュロの名前で親しまれ、屋根を葉でふいたりするなど、島民の生活と文化を支えてきた。幹は葉柄が落ちた痕の環状の模様が特徴。葉は掌状深裂(画像)で、葉柄の基部には基部方向に曲がった2列の棘がある。中には棘のないものもあり、棘無しビロウとも呼ばれているが、母島やその属島にある棘のないものは「メイジマビロウ」と呼ばれる。父島の明治間(メイジマ)地区に多く自生するため、地元ではメイジマビロウと呼ばれ、基本的にオガサワラビロウと同じで、棘の有無や幹の形が違っても、実は同一種として共通と考えられる。実の色は未熟の時は緑色、熟すと青紫色〜青黒色になる。


