子供の頃に西条(現妙高市西条)の親戚の家で見た大きなユズの木とたくさんの実の強烈な印象は今でもよく憶えています。それと似た経験をしたのがシシユズの大きな実との出遭いで、既に何年も前のことです。それ以来毎年実をつけるシシユズを見るのが楽しみになりました。その形とサイズにもすっかり慣れました。画像は緑の実、色がつき出した実、そして、現在のすっかり黄色になった実です。
「シシユズ(獅子柚子)」、または「オニユズ(鬼柚子)」が名前ですが、実際はユズではなく、ブンタン(文旦)の仲間です。そのためか、ユズのような強い香りはなく、ほのかに柑橘類の香りがする程度。とても大きな実で、直径が20㎝前後にもなります。実の大きさとグロテスクな形のため、「鬼柚子」、「獅子柚子」と呼ばれてきました。獅子と鬼はいずれもかつての奇怪で、異形な存在の代表になってきました。
シシユズは皮が厚く、表面が凸凹していて、表皮と果肉の間にはブンタンと同じようにかなり厚く白い綿が詰まっています。シシユズは他の柑橘類のように果肉を楽しむ果物ではなく、果肉だけを食べると、甘味が少なく、酸味も締まりがなく、ボケた味しかしません。ですから、私にはもっぱら目で見てその異形を楽しむ対象です。
*ライオンが獅子と呼ばれ、様々に変化しながら、各地に伝播していき、今でも日本では獅子舞、シーサー(沖縄の獅子像)、狛犬として残っています。獅子舞と鬼はそれぞれ中国由来で日本に伝わったという伝来経路を持っています。「追儺(ついな)」は疫病や災害をもたらす悪鬼を追い払うことが特徴で、黄金の顔で四つ目を持つ方相氏(ほうそうし)が登場し、のちの節分行事に発展する儀礼です。この方相氏が日本で節分行事において鬼として追われる側になります。ところで、この「追儺」と結びつくのが仏の姿を拝む行事「行像」。これが伎楽に組み込まれ、日本にも伝わります。伎楽の一部である獅子が生き残り、獅子舞の形になります。これが鬼と獅子舞が似ている理由です。岩手県の鬼剣舞や佐渡の鬼太鼓なども獅子舞に近い役割として演じられます。また、主に和歌山県中部に見られる獅子舞には鬼面が登場し、鬼と獅子の共演は数え切れないほどに存在します。既に、鬼については何回も述べてきましたが、獅子との関係もさらに調べてみたいものです。




