ヒイラギの葉の変化

 ヒイラギの葉の形の変化(若木では鋭い棘、老木では丸みを帯びる)は、動物による食害防御と成長段階に応じた生理的変化に関係しています。これは「異形葉性」と呼ばれる現象で、進化の結果として獲得された性質であり、環境や樹齢によって葉の形が変化するのです。

 異形葉性は成長段階や環境条件によって葉の形が変わる現象で、ヒイラギだけでなく、トウモロコシなどでも確認されています。光合成による糖の蓄積が植物の「成熟度」を感知するシグナルとなり、遺伝子発現が変化して葉の形が変わると考えられています。老木でも幹を切って新しい枝を出させると、再び棘のある葉が生じることがあり、葉の形は固定的ではなく可逆的です。

 棘のある葉は捕食者からの防御という明確な適応的役割を持ち、これは進化の過程で獲得された形質です。ヒイラギは「必要な時に棘を出す」柔軟な戦略を持ち、環境や成長段階に応じて葉の形を変える能力を進化させました。また、棘のある葉は日本では「魔除け」として節分の柊鰯(ひいらぎいわし)に使われ、ヨーロッパではクリスマスの飾りに用いられるなど、進化的機能が文化に利用されてきました。

 ヒイラギのように成長段階や環境によって葉の形が変化する「異形葉性」をもつ植物は他にもあり、カクレミノ、クワ、ノブドウアカメガシワなどがあります。確かに、子供の頃にクワの丸葉と裂葉の違いを不思議に思った記憶がありますし、カクレミノの葉に丸葉と裂葉があるのも何度か記しました(最後のカクレミノの画像では上が若葉で3裂、下の葉が全縁)。

 ヒイラギの葉の形の変化は特異なものではなく、カクレミノ、クワ、ノブドウアカメガシワなど多くの植物も異形葉性を示しているのです。これらは防御、環境適応、成長段階の違いに関する進化的戦略なのです。