モチノキ科のソヨゴ(戦、冬青)は常緑小高木で、別名は「フクラシバ」。「ソヨゴ」は波状の葉が風にそよぐことから命名された。ソヨゴは雌雄異株で、花は雌雄とも白と薄い黄緑色からなる。雌花の後には直径5ミリほどの青い実ができ、秋になると赤から黒に熟す。花や果実には長い柄があり、果実はサクランボのようにぶら下がる。湾岸地域では公園や庭の植栽に利用されていて、あちこちで見ることができる。
ソヨゴの実はサクランボのようにぶら下がり、秋から冬にかけて赤くなる。ソヨゴの実の色や姿は樹木の中では出色で、私はつい見惚れてしまう。葉が冬でも青いことからソヨゴは「冬青」と書くが、冬の青空の中に緑の葉が凜とした姿が浮かび上がってくる。
芥川龍之介の『少年』には「そう云う蟻には石灯籠の下や冬青(モチ)の木の根もとにも出合った覚えはない」とあり、島崎藤村の『夜明け前(第二部)』には「よく行った神門のそばには冬青(ソヨギ)の赤い実をたれたのが目についた」とある(ソヨギはソヨゴの別名)。また、「冬青の実」は秋の季語。こうなると、「冬青」は判じ物である。「冬青」の読み方は「そよご」、そして「とうせい」の両方があり、いずれも正しい。冬青(そよご)は「モチノキ科の常緑低木」であり、冬青(とうせい)は「冬青(そよご)の別名、モチノキの別名」である。また、冬の青空を「冬青」とも言うようで、冬青の「青」は冬の緑も意味している。
*最初の画像はソヨゴの花
*「冬青」を探していると、『冬青集(とうせいしゅう)』が見つかった。それも二つあり、矢島渚男の句集『冬青集』と、大野林火の『冬青集』である。大野の句集は1940年、矢島の句集は2016年で、第50回蛇笏賞を受賞している。



