シマサルスベリの多彩な色変化

 湾岸地域にはサルスベリが多く、一部は街路樹にまでなっています。初秋までの長い期間に渡って花を楽しむことができ、「百日紅(ヒャクジツコウ)」という別名もありますが、実際の花期は2か月ほどです。

 仏教の三大聖木(無憂樹、菩提樹、沙羅樹)は日本では気候の違いなどから育てることができず、代用樹が用意されました。無憂樹(アショーカ樹)は花姿が似ていたサルスベリが代用となりました。確かに、私の記憶の中のサルスベリは近くの寺の境内にあって、すべすべの木肌を今もよく憶えています。江戸時代に渡来したサルスベリミソハギ科の落葉中高木。漢字では「猿滑」、「百日紅」、「紫薇(しび)」などと書かれます。「百日紅」という字の由来と「さるすべり」という呼び方の由来はまったく別モノ。「百日紅」を「さるすべり」と読むのは「熟字訓(じゅくじくん)」という読み方で、熟字訓は漢字1字に読み方をあてるのではなく、熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方。熟字訓は「方便文化」の一つで、頓智と機知の紙一重の工夫です。

 シマサルスベリは中国中部、台湾及び奄美諸島などの亜熱帯に分布するサルスベリの近縁種で、開花時期はサルスベリと同じですが、花の色は白のみです。サルスベリと比べると花が小振りで、樹皮はサルスベリよりも白く、幹は直立し、その美しさはサルスベリに勝ります。そのシマサルスベリが紅葉し始めました。花だけでなく、紅葉もサルスベリより見事で、その紅葉の多彩さに惹きつけられます。一面の紅、一面の黄も見事なのですが、多彩な色変化も同じように見事です。