サルスベリの秋

 ナチェズ(Natchez)は中国原産のサルスベリと日本原産のヤクシマサルスベリとの交雑で生まれた品種。白色の花は長さ30cmまでの長い花序を作り、秋になると橙色から赤色に発色する非常に美しい紅葉が見られます。開花時期は初夏から秋で、小花は6枚の縮れた花弁をもち、花序は円錐花序。

 仏教の三大聖木(無憂樹、菩提樹、沙羅樹)は日本では気候の違いなどから育てることができず、代用樹が用意されました。ナツツバキは沙羅樹の代用で、無憂樹(アショーカ樹)は花姿が似ていたサルスベリが代用となりました。また、菩提樹はインド菩提樹ではなく、中国原産の菩提樹が代用樹になってきました。確かに、私の記憶の中のサルスベリは近くの寺の境内にあり、そのすべすべの木肌を今もよく憶えています。

 江戸時代に渡来したサルスベリミソハギ科の落葉中高木。木登りが上手なサルでも、滑り落ちるほど樹皮が滑らかということから命名され、漢字では「猿滑」、「百日紅」などと書かれます。「百日紅」という字の由来と「さるすべり」という呼び方の由来はまったく別モノ。「百日紅」を「さるすべり」と読むのは「熟字訓(じゅくじくん)」という読み方で、熟字訓は漢字1字に読み方をあてるのではなく、熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方。熟字に訓読みをあてた熟字訓は熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に読み方があてられているため、漢字単体に読み方が振り分けられていません。熟字訓は正に「方便文化」の一つで、いい加減と当意即妙、頓智と機知の紙一重の工夫です。でも、既述の「千日紅」、「百日草」はそれぞれ「センニチコウ」、「ヒャクニチソウ」と真面に読まれています。

ナチェズ

マサルスベリの実

マサルスベリの紅葉