脇役のヒメイワダレソウ(リッピア)

 夏は雑草との戦いだが、その雑草を制するには同じ植物でというのがグランドカバー作戦。グランドカバーは花壇や通路の土が見えているスペースを埋めてくれる植物で、日本で最もよく目にするのが芝生、そしてシロツメクサ(クローバー)。シロツメクサの白い集合花は冬に地上部が枯れるが、春に茎葉が伸びてくると鮮やかである。

 さて、そのグランドカバーの一つがリッピア(Lippia)。和名は「ヒメイワダレソウ」。シロツメクサと違って花の姿はなかなか立派で、踏みつけるのは忍びない。とはいえ、ツルニチニチソウほど印象深くはないので、踏みつけても罪悪感をもつほどでもない。こんな勝手なことを考える私は植物愛好者からは程遠いのだが、彼女たちにも主役に負けない魅力がある。

 リッピアは茎が地面を這うように伸びて広がり、各節から根を出してびっしりと密に地面を覆い、緑のカーペットのようになる。石垣や敷石の間、花壇の縁のほか、コンテナの寄せ植えにも使いやすく、多少の踏みつけにも耐える。「イワダレソウ」の名前で出回ることもある。3~4mmの小花が多数集まって、径1.5cmくらいの球状の花を咲かせるリッピアは南米原産で、世界各地に野生化している。

 イワダレソウ(Lippia japonica)とヒメイワダレソウ(Lippia nodiflora)は、見た目が似ているため混同されがちだが、いくつかの重要な違いがある。イワダレソウは日本の在来種で、庭園や公園のグランドカバーとして人気。繁殖力が強いため、管理が必要。ヒメイワダレソウは外来種で、環境省の「生態系被害防止外来種」に指定されている。