暑い初秋のノウゼンカズラの花

 ノウゼンカズラ凌霄花)の名前の由来は、古名の「のせう」が変化して「のうぜん」になったとも、「凌霄」の音読み「りょうしょう」が変じて「のしょう」になったとも言われています。「凌」は「しのぐ」、「霄」は「そら」の意味で、蔓が木にまといつき、天空を凌ぐほど高く登るところから「凌霄花」となりました。ノウゼンカズラの英名は花がトランペットの形に似ていることから、Chinese Trumpet Flower。

 さて、画像はアメリノウゼンカズラかマダム・ガレン(*)のいずれかと思われます。アメリノウゼンカズラアメリカの東南部からメキシコ湾岸に分布しています。茎頂に円錐花序をだし、赤色の筒状花を咲かせます。ノウゼンカズラとよく似ていますが、全体に小型で、花筒が長いことが特徴。

*三種類のノウゼンカズラ

ノウゼンカズラ:中国原産で、平安時代に日本に渡来していた。

アメリノウゼンカズラ:北米原産で、日本には大正時代に渡来。アメリノウゼンカズラノウゼンカズラの2種でノウゼンカズラ属を形成している。

・アイノコノウゼンカズラノウゼンカズラアメリノウゼンカズラの交配種。アイノコノウゼンカズラは「マダム・ガレン」という園芸種名で呼ばれている。

 ノウゼンカズラの花の盛りは盛夏ですが、初秋まで次々と花をつけます。貝原益軒の『花譜』(1694年)には「花を鼻にあてて嗅ぐべからず、脳を破る。花上の露目に入れば目暗くなる」と書かれています。

 中村草田男の句に「凌霄(のうぜん)は妻恋ふ真昼のシャンデリア」があります。ノウゼンカズラの近縁種がアメリノウゼンカズラで、花の赤みが濃く、筒部が長いのが特徴。トランペットの広がりが小さいので、別名コノウゼンカズラとも呼ばれています。北アメリカ原産で、ケンタッキー州の州花。

*画像はアメリノウゼンカズラ