グレープフルーツ、ポンカン、ハッサクの青い実から

 柑橘類はミカン科のミカン属、キンカン属、カラタチ属に属する植物の総称。中でもミカン属には重要な果実が多く、日本では多くが栽培されています。柑橘の「柑」はミカン、「橘(たちばな)」は古くから観賞用として栽培されていたミカン科の植物です。柑橘類は若い時は葉緑素によって緑色をしていますが、成熟するにつれて葉緑素は分解消失して、カロテノイドという色素が残り、黄色くなってきます。

 画像はグレープフルーツ、ポンカン、ハッサクの順で、どれもよく似ています。若く、青い実は成熟したものに比べ、区別がしにくいのです。赤ん坊がよく似ていて、成人の区別に比べると厄介なことは、ヒトだけでなく、動物や植物でも同様です。

 このような話をすると、生物の個体発生と系統発生の関係についてE・H・ヘッケルが1866年に提唱した「生物発生原則」が思い出されます。それは「個体発生は系統発生を繰り返す(つまり、個体発生は系統発生の短縮された急速な反復)」というもので、「反復説」と呼ばれてきました。

 系統発生は個体発生の積み重ね、繰り返し、反復です。系統発生は個々の個体発生の積み重ねであり、個体発生の僅かな変異を反復的に積み重ねた結果です。この主張になんら不思議はなく、「個体発生は系統発生の繰り返し」という反復説とは正反対であり、それゆえ、この常識と比べると、反復説は実に不思議な説ということになります。

 積み重ねと繰り返しの違い、重ね合わせと反復の違いは重要であるにも関わらず、正確にどのような違いなのかは20世紀までははっきりわかりませんでした。遺伝子や情報という概念によってようやくその正体が分かり出しました。

 反復説は生物の個体発生と系統発生の関係についてE・H・ヘッケルが1866年に提唱した古い学説で、「生物発生の原則」とも言われてきました。それは「個体発生は系統発生の短縮された、急速な反復である」という内容です。個体発生とは生物が卵から成体になる、いわゆる成長過程ですが、それがどのような経過を辿るかは、それぞれの生物のそれまでの歴史(系統発生)によって決定されます。つまり、祖先の生物のたどった形態変化が個体発生の過程で再現されていると言うのです。この原則が成立するならば、個体発生の研究から系統発生を探ることができることになります。ヘッケルは動物の系統樹を実際に類推しています。

 でも、系統発生が個体発生の原因なのではなく、個体発生中に生じた変化の結果として系統発生が変化するので、ヘッケルの考えは完全に逆立ちしたものです。また、個体発生のいろいろな段階で偶然的な変化が生じるでしょうから、両者の関係はヘッケルがいうほど単純なものではありません。個体発生と系統発生の関係で注目されるのは、個体発生の途中で成熟して成体になり、その先の過程が発現しないネオテニー的進化です。ヒトの特徴が類人猿やサルの成体よりも幼児あるいは胎児に類似することから提唱されたヒトの胎児化説はネオテニー的進化を想定したものです。

 このような一般的な要約に関心を持つかどうかは個人的な好みに大きく依存するのですが、生物個体の発生と生物の系統的発生は言葉の使い方を含めて、とても謎めいていると思う人は何人かいる筈です。私もそのようなことに関心を持った一人です。とても極端で、卑近な例を出すなら、家系と個人の関係です。それらが別物か否かは世襲制度のある歌舞伎や家を重視する自民党で問題になってきましたし、現に今も問題になっています。

グレープフルーツ

ポンカン

ハッサク