春のボケの花は多くの人が好きなのですが、ボケの実に関心を持つ人は少ない筈です。でも、瓜の形に似ていることから「木になる瓜」で「木瓜」と書き、今は「ボケ」と呼ばれています。昔から乾燥させた実を漢方薬として使っていたようで、現在も薬用にされ、さらに、香りがよいため、部屋の芳香剤にも使われています。
ボケは開花した後、香りのよい実をつけますが、その形はジャガイモのような形をしています。また、カリンの実に似て、硬い実です。ボケの実は酸味と渋味が強く、生で食べることができず、果実酒やジャムにして食べられています。ボケの実にはカリンと同様、咳止めや疲労を回復する効能があり、滋養強壮や胃腸を整える効果もあります。
ところで、バラ科のカリンは中国原産で、江戸時代に渡来。カリンは樹皮が独特の斑模様をしていて、ピンク色の花が美しく、大きな果実がたくさん実ります。5月には実がつき、11月には黄色く熟しますが、青いままの期間が長く、夏の間青い色が変わりません。熟した果肉は、薄い黄色~橙黄色で、中には5本の空洞があり、その中にたくさん種が入っています。
カリンがよく知られるようになったのは昭和50年代。カリン酒が咳止めや風邪に効くことで評判になったためですが、中国では約2000年も前から薬用として利用されていました。中国では「杏一益、梨二益、カリン百益」と呼ばれていました。

(ボケ)

(ボケ)

(カリン)

(カリン)