シオヤアブ再見

 3年前の夏に初めて見たシオヤアブを久し振りにまた見ることができた。偶然の出会いだったのだが、なんだかとても懐かしい気持ちになってしまった。

 シオヤアブ(塩屋虻)はハエ目(双翅目)ムシヒキアブ科の昆虫。「塩屋虻」という名前は、成虫のオスの腹の端に白い毛が密生し、塩を吹いているように見えることに由来する(したがって、画像はオスである)。この白い毛はメスにはなく、オスとメスの見分けは簡単につく。また、オスとメスでは体格差もあり、メスの方が大きく、性差ははっきりしている。このようにまとめると、シオカラトンボやローランドゴリラを思い出す人がいる筈である。

 シオヤアブは大型のムシヒキアブで、飛翔する昆虫を襲って捕食し,時には自分より数倍大型の虫も仕留める。特に、成虫はコウチュウ目やチョウ目などの昆虫を獲物とし、スズメバチやオニヤンマなどを襲うこともある。シオヤアブは昆虫界最強クラスの戦闘力を持っている。オオスズメバチオオカマキリ、カブトムシなどと並んで、シオヤアブは最強の肉食ハンター。

 昆虫の場合は弱肉強食が成り立たないと考えたくなるのだが、昆虫だけでなく、どんな生物についても自然選択が働いている(つまり、「生き物の世界はなべて弱肉強食の世界である」)と考えるのがダーウィンの進化論の基本的な主張で、私たちと同じように、シオヤアブは生態系の食物連鎖の中の消費者の一つなのである。

*最後の画像は3年前の夏のシオヤアブ