冬薔薇

 冬至に冬薔薇の二句が浮かび出る。生きることの二つの側面が描き出されている。

  生誕の日や冬薔薇の紅の檄(楠本憲吉

  病む瞳には眩しきものか冬薔薇(加藤楸邨

 相澤啓三の詩集『冬至の薔薇』(書肆山田、2010)は巻頭を飾る「冬至の薔薇」から始まり、巻末に置かれたのは「まだ見ぬかたの花」。西行の「吉野山こぞのしをりの道かへてまだ見ぬかたの花を尋ねむ(吉野山の去年の花見のとき、目印のため枝を折っておいた道をかえて、今年はまだ見たことのない方面の桜を尋ねよう)」(新古今和歌集)の歌をうけて、「まだ見ぬかたの花」の詩がラストを飾る。